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LIFE STYLE
1886年(明治19年)に軽井沢を訪れたカナダ人宣教師、A.Cショーによって別荘が建築され、以後避暑地として発展し、観光地、そして現在は移住地として人々を惹きつける「軽井沢」。別荘地として100年以上続く歴史。そしてそれを共に築き今でも変わらず残る豊かな自然、一歩足を踏み入れると、ここにしかない環境が確かにある。「凛」とも表現できる、そう感じさせる空気が流れています。

軽井沢に人が住みはじめた歴史を辿ると、古くは縄文時代にまで遡ります。軽井沢ガイドブック2021によると、軽井沢高原は高冷地であったにも関わらず、鳥獣や果実、球根類が豊富で人々が住むのに適したエリアであり、縄文時代にはすでにあちらこちらで集落が形成されていたそうです。そこから江戸時代に中山道の宿場町として栄え、宣教師との出会いを経て以後避暑地として発展し、訪れる人々の数も増え観光地として人気を博してきました。そんな軽井沢が人々を魅了し続ける理由について、一般社団法人軽井沢観光協会 事務局 次長の新宅(しんたく)弘恵さんにお話を伺いました。
プロフィール/新宅 弘恵(しんたく ひろえ)
東京都板橋生まれ。埼玉県浦和市(現さいたま市)育ち。2005年に軽井沢に移住。2005年(平成17年)7月、軽井沢観光協会入職。2年間の観光案内所勤務を経て、現職。軽井沢を世界中の人に知ってもらうため、各地でPR・観光関連団体との連携業務、観光に関する各種データの収集などを行なっている。趣味は軽井沢探索。
軽井沢観光協会
昭和24年設立、軽井沢町内約500会員(企業)により結成され、現在創立71年目。軽井沢の特性を活かし、滞在型リゾート地として発展すべく、インバウンド誘致、ウェディング誘致、会議都市推進、リゾートテレワーク推進などを柱に進めている。

新宅さん:軽井沢は避暑地として見いだされ、およそ 100 年以上別荘地として栄えてきま した。昭和 47年に軽井沢の自然を守りながら、良好な生活環境を維持することを目的とし た「軽井沢町自然保護対策要綱」が制定されました。
この要綱によって、軽井沢町の約6割にあたる国立国定公園エリアや、観光施設やショッピング施設がある商業エリア、住宅建築が可能な居住エリアに分けられ、別荘建築においては1000㎡(約300坪)以上といった敷地の最低面積を定められ、都市計画法よりも厳しい建ぺい率や高さ制限など、様々なルールが制定されました。この厳しい要綱があることによって美しい町の景観が保たれ、居住する人たちも快適に過ごすことができ、また町を訪れる観光客からも他にはない町の雰囲気が支持されているのではないかなと思います。
そのことを裏付けるように、軽井沢を訪問する観光客数は年々増え続けています。しっかりと町の景観を守りながらも、美術館や飲食店、商業施設といった観光施設が整っており、そこが軽井沢の魅力として愛されている理由のひとつであり、観光に結びついていると考えています。
―全国を見渡しても、特定の地区だけでなく、町全体でこのような取り組みをしている町は珍しいですよね。観光地としても素晴らしい軽井沢町ですが、近年はその魅力によって移住を検討される人も増えていると聞きます。

新宅さん:長野県内には77市町村ありますが、現在移住促進の取り組みを実施していないのは軽井沢町だけだそうです。それでも人口が伸び続けているのは「軽井沢の魅力」が理由なのではないでしょうか。実は私自身も東京出身で、軽井沢に移住してもう16年になります。生まれも育ちもずっと東京だったのですが、夫が早期退職後「田舎に住んでみたい」と言ったことがキッカケで、海や山など自然の近くで検討した際に縁あって軽井沢を訪れ、「緑が多くて素敵だな。こんな場所に住んでみたい」と思い、移住を決めました。東京までも新幹線で1時間半ほどと利便性も高く、首都圏にある実家へのアクセスも容易だったこともポイントでしたね。ここ数年は住宅建築も増えてきており、ますます移住者も増加しているなと感じています。

また、軽井沢は別荘文化を基盤として歴史的に独特なサロン文化を有しており、地元住民はもちろん、観光に別荘や移住、二地域居住者といった様々な人々によって情報交換が積極的に行われています。レストランやバー、別荘など様々な場所での交流により、イノベーションの誘発が起こりやすく、テレワークにも適した場所であると考えられます。2018年に軽井沢リゾートワーク協会が設立され、テレワーク対応施設の拡大が進んでいます。コロナ禍によるテレワークの推進に伴い、リゾート地である軽井沢にも熱い視線が向けられています。
軽井沢は人口およそ21,000人で、町民の住居は約8,000戸、別荘が約500戸という小さな町です。しかし、近年は観光ニーズによってホテル建築や、移住や別荘利用としての住宅建築が増え続けています。軽井沢町で新たに建築する場合には、個人・企業(商用)に関わらず伝統と優れた自然環境の保全、観光地としての街づくりの推進に伴う「軽井沢自然保護要綱」を守っていただいているため、軽井沢らしいこの素晴らしい緑豊かな環境、美しい景観が保たれているのだと思います。
2021年7月には旧軽井沢本通沿いに複合型ワーキングスペース『The Circle』がオープン。コンセプトは「未来循環型 ワークスペース」。1階にはカフェも併設され、約40人ほどが働けるスペースとなる予定。月額制での契約(アドレスフリー)の他に、ドロップインとしても活用きただけます。地域と観光をつなぐハブとして、都内や全国からの移住者たちが、仕事を通じて共生する場として注目です。
軽井沢自然保護対策要項(一部抜粋)
・7月25日〜8月31日は原則、工事自粛期間となる。
・保養地域では騒音を発する恐れのある施設及び、店舗等の設置をさけ、静かな生活環境を保持すること
・建物外部の色彩は周囲の自然と調和のとれた色として地域の特性に応じた数値基準を定める
・建物の屋根の形状は、切り妻等傾斜のあるものとして地域の特性に応じた数値基準を定める
・敷地内の樹木及び植生する植物は、できる限り残存させること
軽井沢町の自然保護対策要綱についてはコチラ
例えば、軽井沢ファンなら知っておきたい、自然・歴史・文化・建築・生物・文学など、幅広い分野から出題し、知識の深さを認定する「軽井沢WEB検定」という取り組みがあります。合格者には公式合格証が送られ、合格者カードの提示で、軽井沢町内の各種施設の入場料が減免(無料)となる特典も。さらに軽井沢観光ガイドの会に入会すれば、研修後にガイドとしてデビューできます。例年、2月に年1回開催されていますが、今年は3級のみ6月13、14日に特別価格で受験することができます。公式検定アプリで知らなかった「軽井沢トリビア」を楽しく学ぶことが出来ます。

この他にも、e-bikeに乗って浅間山を中心とした軽井沢エリアから東御エリアまでの広域観光ができる周遊ツアーも実施予定です。e-bikeだからこそ、小鳥のさえずりや小川のせせらぎなど、自然の音がダイナミックに感じられ、車では気付かなかったお店や由緒ある歴史スポットなど、軽井沢周辺の様々な魅力を再発見することが出来ます。みなさんが住む町の事をより深く知ることで、より一層町に愛着を感じたり、新たな魅力に気付くことが出来ますよ。
―観光・別荘・移住など、多方面から支持され、愛され続ける町「軽井沢」。そこには時代を重ねながらも、町の自然・景観を大切に守り続けていく人々の軽井沢という街への変わらぬ愛が伺えました。遊びに訪れる人、余暇を過ごす人、そしてそこで暮らす人々が守り続ける限り、軽井沢のこの美しい街並みはこれからもずっとあり続けるでしょう。
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